情報はなぜビットなのか 知っておきたいコンピュータと情報処理の基礎知識

日経BP書店 書籍紹介-情報はなぜビットなのか 知っておきたいコンピュータと情報処理の基礎知識(ISBN 4822282708)
2006/11/08 記

読了。タイトル通り、どうしてコンピュータでは情報をビットとして扱うのか? を解説はしているが、ページが進むにつれて、そこからどんどん離れていき、

と経て、何気にコンピュータシステム開発における基礎知識を網羅している構成に、これはタイトル付けで失敗してるナーと強く思った。かといって、『コンピュータシステム開発入門』では売れないだろうなと思うと、なんとも難しいところではあるが。

兎も角、読み進めば進むほどに、10年前に専門学校で習ったことが次々に思い出され、懐かしくも良い刺激をヒシヒシと感じられる。本当に勉強が楽しくてしょうがなかったあの頃のような興奮が自分の中に戻ってくる感覚は、すごく良い。この、さほど厚くもなく読み進めやすい本書は、しかしコンピュータシステムを構築する上での基礎知識が完璧に網羅されている。時を経てすっかり忘れてしまっていた、しかし開発者には必要な基礎知識が。コンピュータが面白い存在だと思い出させてくれる本物の基礎知識が。

特にデータベースの章は本当に忘れてしまっていたことを思い出させてくれた。『正規化』は確かに習ったことだしシンプルで使い勝手の良い学術なんだけれど、そこから遠ざかっていた僕はそのことをすっかり忘れてしまっていた。それだけでも読んだ価値があるとすら思える。矢張り、どんな技術だって、基本の型は忘れてはならない重要なことであり、いつだって僕らを助けてくれる偉大なツールなのだ。

って書いていて、なんだか自分が歳をとったように思えてきた。いや、まぁ、来年は30歳で十分オヤジなんだけれども。それは兎も角。

本書は、コンピュータシステムがどのような技術/学術で作られているのかを知りたい人にはオススメで、業界でしばらく働き、使わない基礎知識が若干薄れてきたような中堅エンジニアにもオススメだ。エンジニアに関わる人達にも、エンジニア達がどのようなことをやっているのかを知る良い手がかりになると思う。なんならこれからコンピュータシステムに触れる子供達にも勧められるかも知れない。

もし興味があるのなら是非、手にとって読んで欲しい。統計の章は正直くじけそうになったけど、でも、コンピュータシステムの入門書としては上出来な内容だ。まずはエンジニア達に。エンジニアに関わる人達に。そして未来のエンジニア達に。優秀な人間は他の業界に逃げちゃって衰退しているこのコンピュータ業界の、けれど面白い部分が広まれば、また、活気(とお金が)戻ってくるはずだから。

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