ピープルウェア 第2版

日経BP書店 書籍紹介-ピープルウエア 第2版(ISBN 4822281108)
2004/04/06 記
 コンピュータシステムの構築であっても、それは人の手によって作られるのだ、ということを思い出させてくれ、そして、人の手によって作られる知的作業とは一体なにものなのか、ことプログラマと言われる人たちがどういう事に関心があり、どういう事に情熱を注ぐのか、ということを解説してくれる。そして、仕事に対して誇りを持つことや、喜びを持つことのすばらしさ、それらを感じられなかったり失ったりする酷さ、虚しさ、悲しさ。そういった物が延々と書かれている。人の手によって作られている、という意味を考えさせられる内容だ。

 僕たちはコンピュータシステムに慣れるあまり、自分も、そして相手も人間であることを忘れてはいないだろうか? 物事はすべて理論で片づくと思ってないだろうか? 感情など、どこにも存在しない(或いは仕事の上では役に立たない)と思ってはないだろうか? 人によって行われる知的作業というものの本質を理解しているだろうか?

 読み終わって気がつくのは、この本は人間賛歌にあふれていると言うことだ。プロ意識というものが日々においてどれだけ個人の糧になっているか、結束が生み出すパワーがどれだけのものか、管理職が出来ることはいったい何なのか、仕事における喜びとは、いったい何なのか。

 これらは理想論かもしれない。思わず吹き出してしまうかもしれない。あまりに非現実的すぎて。けれど、これをそういう風に笑ってしまうのはそれだけ酷い状況だ、ということだ。見渡してみると良い。そこは本当に良い職場だろうか?


 本書の中で特に印象に残っているのは、協力し合う兄弟姉妹の説と、第2版の追加部分、最後の説、学校の隣にオフィスを作った話。最近、こういった家族の絆に心をたれることが多くなってきたような気がする。年をとってきた、ということなんだろうか。
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