ソフトウェア開発プロフェッショナル
ソフトウェア・エンジニアの心意気とは? 個人として、会社として、業界として、ソフトウェアに関わる我々は何を目指し、何をするべきなのか?
著者であるスティーブ・マコネルの経験と知識を通じ、ソフトウェア業界の目指すべき姿をこの本は表している。ソフトウェア業界に関わっている人なら、この業界が狂気に満ちた業界であることは、十分理解しているかと思う。著者は、まず、その状況を分析してみせる。何が原因で、どう対処するべきか。
その答えとして、「プロ意識」が必要である、と本文は続いている。では、プロ意識とはなにか、プロフェッショナルとは、どういう事なのか。その命題に対して、三つの段階を踏み、説明が為される。個人のプロ意識。組織のプロ意識。ソフトウェア業界のプロ意識。著者は、その定義を明確にし、きっちりと線を引いてみせる。プロフェッショナルとはなんなのか。プロフェッショナルになると言うことはどういう意味なのか。
この本は、そんな内容であふれている。そしてまた、とても楽しい内容であふれている。仕事に誇りを持つこと。業界の未来に希望を持つこと。誇りを保つための仕組み、希望を持ち続けるための仕組み、ソフトウェア業界というものを、発展し続けさせるためのアイデア。それがこの本の正体だ。それは確かに一つのアイデアでしかないが、けれど、そのアイデアが指し示す先はとても興味深いし、面白そうだ。それに、各種データと著者の経験に裏打ちされたアイデアは、高い説得力を持ち合わせている。
この「ソフトウェア開発プロフェッショナル」は、本当に素晴らしい、今、読むべき最高の良書だ。これからソフトウェア業界に入ろうと思っている人から、既に業界で働いている人、ソフトウェア業界を選ぶかどうか悩んでいる学生、一線を退いた人や、ソフトウェア・エンジニアを抱える会社の経営者、さらにソフトウェア業界に触れ、関わっている全ての人にすら読んで欲しい。それだけのものが書かれている。
う~ん。どうしよう? 必要なだけ買って、読んで欲しい人全員に配っちまおうか?